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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第17章 恋仲〜後編〜



「空良様は言葉足らずではありませんよ。現に今も、空良様の言葉は私にはすぐに理解ができました」


にっこりと微笑む三成くんに鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなった。

「私も、よく皆様に誤解される事が多いので、そう言う時は書面で説明を致します。ですから空良様も、信長様に文を書かれては如何ですか?きっと信長様も喜ばれます」


「文........」
って、恋文の事?
これはこれでとても難しそうだけど、考えた言葉を文字にすれば良いわけだし、口にするよりは良いかもしれない。


「...........そうだね。うん、そうする!ありがとう三成君」

「お役に立てて光栄です。空良様、頑張って下さいね」


「うん、ありがとう」

三成君のおかげで目の前に道がひらけた。

ううん、三成君だけじゃない。
秀吉さんも、家康も小夜ちゃんも、みんな心配してくれてる。


何だか周りの状況や噂は変な方向に向かってるけど、(特にあの書物には驚いた!)この噂だって、このままいけば真実に変わってしまうかもしれない。

手順にこだわってた私が、一番大事な手順を抜かそうとしてた。

信長様は、いつだって沢山の愛を囁いてくれる。だから私も、恋しい人に大好きだと言う気持ちを伝えたい。手順にこだわった私らしく、文でこの思いを伝えたい。


部屋に戻り文机の前に座り、硯を出して墨をすり始める。

出会った時の事、
初めて口づけをされ抱かれた日の事、
好きだと気づいた日、
別れを覚悟した日、
そして、お互いの思いを確かめ合い、恋仲になった日。

それら全ての事を思い出しながら、墨が濃くなりすぎないよう丁寧に墨を摩った。
本来なら恋文は、綺麗に色を染めた紙や香を焚き染めて趣を出すが、今の私にはこの目の前のただの白い紙が身分相応な気がして、..........
何の趣向も凝らさず大好きな人を思い浮かべながら、心の中に思う事全てを文に認めた。


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