第17章 恋仲〜後編〜
「ありがとう。どんな事が書いてあるのか楽しみ.....................................えっ、!」
書物をめくると、そこには枕絵顔負けの絵が描かれている。
「み、三成くんこれっ!」
「あぁ、すみません。これは最後に読む巻ですね。手順書の壱はこちらです」
何の気なくさらりと言って違う書物を渡そうとする三成くん。どうやら、間違えて持って来たわけではなさそうだ。
「あ、あの......これ本当に光秀さんが私に持って行けと?」
「はい。空良様が信長様によりご満足頂けるように、恋仲の手順を知りたがっているからと、.........」
「手順って............」
そっち(男女の睦事)の手順の事!?
また話が曲がって伝わってる?
しかも信長様により御満足頂くって何?
そもそも信長様程の殿方が私で満足出来ているのかはとても謎だ。いや、決して満足はしていないはず。あっ、だから一晩で何度も抱かれるのかも........
「あの、三成君ごめんね。私が言ってたのは恋仲になって、逢瀬をして手を繋いでって言う、そっちの軽ーい順序を踏むって意味で、あの、...」
決して大人な手順ではないわけで........
「そうでしたか。それは大変失礼をしました。ではこれは必要ありませんでしたね」
三成君は爽やかな笑顔で怪しげな書物を私の手から取った。
爽やかな人は如何わしい書物を手にしてもやはり爽やかだ。そしてこんな書物が書庫にあるなんてとても驚きだ。
そう言えば、三成君は勤勉でとても頭脳明晰だと聞いた事がある。何か良い仲直りの方法を知っているかもしれない。
「あの、三成君」
「はい?」
「私、信長様と仲直りがしたいんだけど、少し、ううん、かなり言葉足らずな所があって............、こんな時三成君ならどうするかなぁって」
謝りに行っても、また何か失礼な事を言って信長様を更に怒らせてしまうんじゃないかと思うと、前に進む勇気が出せない。