第17章 恋仲〜後編〜
「だ、だってこんな高価な物ばかり、私には....」
家康の言葉は本当に的を得ていて...........
本能寺から連れて来られ侍女にされた次の日から、信長様は様々な物を贈ってくれた。それは恋仲になってからはもっと頻度が上がっていて.......、
それに対して私が喜んだ事は、祭りの時の髪飾り以外一度もない気がする。
『.....貴様は、二言目には豪華だとか高価だとかしか言えんのか。女なら綺麗だと言って素直に喜べ』
前に、何を贈られても慌てふためく私に、信長様が呆れて言った言葉を思い出す。
そしてあの夏祭りの日も、
『そんなもの一つで喜ぶ貴様が見られるなら、全部買い占めればよかったな』
撫子の髪飾りを買ってもらい嬉しくてお礼を言ったら、とても嬉しそうにそう言ってくれた。
「.............私......ひどい態度を、とってる?」
私に足りないのは、どうやら言葉だけではなさそうだ。
そんな事に今さら気づくなんて.....
「まぁ、あんたがそれでいいならいいけど.........、行くよ。ついて来て」
「はい。お願いします。あ、あの、信長様は今日は城内にいますか?」
「あの人なら今日は不機嫌なまま城下の視察に秀吉さんと出てったよ」
「あ、そうなんですね」
(じゃあすぐに謝りには行けないんだ)
「あと敬語、やめてって言ったでしょ」
「あ.......ごめんなさ....ごめんね」
「まぁ、早いとこ仲直りしてよね。あの人、何考えてるか分からないけど、あんたの事大事に思ってるって事は確かだから」
「うん、ありがとう」
家康はそれ以上何も話さず、私を新しい部屋まで送り届けてくれた。