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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第17章 恋仲〜後編〜



秀吉さんが天主を後にした後も、私は中々立ち上がる事ができないまま、朝餉も喉を通らず、昨夜の事を思い出していた。


何度も、何度も昨日の会話を思い出してはどこがいけなかったのかを考える。けれども何がいけなかったのかが分からず、言葉足らずだった事と、顕如様達の事からそんなに日も経っていないにも関わらず調子に乗って、またお願い事を聞いてもらおうとしたバチが当たったのだと、自分の中で結論づけた。


「あ、お部屋を出る支度をしないと.....」

朝餉が済む頃に迎えに来ると言っていたから、部屋を出る準備をしなくてはいけない。
でも私の持ち物は母の懐剣ただ一つだけで、後は全て信長様より贈られた物ばかり..............。
ただ一つ、夏祭りで信長様に買って頂いた髪飾りだけは、身に付けていない日でも肌身離さず持っている大切な宝物だから、これだけは持って行こうと決めていた。


「今回の事は恋仲にとって、大切な儀式だと秀吉さんは言ってくれたけど、仲直り......出来るのかなぁ」

もちろん今すぐに謝りに行きたいけど、忙しい信長様を捕まえるのは至難の業で、お部屋も別に分けられた今、天主に上がる事は出来なくなってしまうわけで.....


「っ...................」


今までは夕方になれば必ず会えていたし、いつだって信長様から何でもしてくれていて、それが当たり前の様に受け止めてしまっていたから.........その手立てを失ってしまった今、自分からどうすれば良いのかが分からない。


「何で、あんな事....言ってしまったんだろう」

後悔先に立たずとはまさにこの事。
言ってしまった言葉を取り消す事も、今のこの状況を無かった事にする事も無理なのだ。




「空良いる?......俺、家康だけど」

現状に塞ぎ込んでいると、今度は家康?の声が襖越しに聞こえて来た。




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