第15章 道
「勝手な事をごめんなさい。でも、信長様との二人の時間を他の何かを決める事にはもう使いたくないんです。私にとっては大切な、かけがえのない二人だけの時間なんです」
何よりも大切な人との愛し合う時間は、私にとっては宝物だから、分かってほしい。
「.................っ、貴様は本当に油断ならん」
「え、.....んっ!」
困った顔があっという間に近づいて噛み付くような口づけをされた。
「んぅ.........」
やはり、怒らせてしまった?
両頬を持ち上げるようにガッチリと掴まれてされる口づけは、瞬く間に息苦しさと目眩がする程の浮遊感を連れて来る。
「..ん、..........んぅ、はっ、あっ、」
このまま褥に倒されてしまうのかと思った時、信長様は唇を離した。
「あ、はぁ、はぁ、..........の、信長様?はぁ、はぁ」
「支度をせよ」
「はぁ、........え?」
それって...もしかして........
「この時期の夜は冷える。特に地下牢はな。湯冷めをせぬように温かくしろ」
「は、はいっ!」
地下牢に、連れて行ってくれるって事!?
「これ以上貴様との時間を取られるのは敵わん、それに今夜辺り、奴も動き出すと思っておった頃だ」
「奴?」
「ふっ、行けば分かる。ついて来い」
「はい!............あの、信長様」
「何だ?」
「ありがとうございます。大好きです」
駆け引きには使いたくないけど、感謝の気持ちはこれで伝えたい私は、背伸びをして信長様に触れるだけの口づけをした。
「っ、.....この天然悪女め、だが喜ぶのはまだ早い。奴らをどうするかは、奴ら自身に決めさせる」
私の手を絡めるように握り取ると、信長様は不敵な笑顔を浮かべた。