第15章 道
「ん!でも、」
「その内祝言を挙げれば貴様は俺の妻となる。つまらん事で気を揉むな」
「祝言って.......」
そんなの夢のまた夢なのに......
「何だ、俺の妻になるのは不服か?」
信長様はイタズラな顔で覗きこむ。
「いえ、不服なんてそんな、.......でも........」
「何だ、はっきり言え」
「信長様の妻になど、私のような身分の者には務まりません。私は今のままで十分幸せです」
一度は諦めた信長様との日々。
その日々をまたこうやって過ごす事ができているだけで、私はもう何も望まない。
「ふんっ、欲のない奴だ。だが俺はまだ足りん。貴様の全てをこの手に入れる」
「ぅん、」
熱い、信長様の口づけ。
私は本当にこれだけでもとても幸せで、これ以上を望めばバチが当たりそうで怖い。
「んっ、私の全てはもう、信長様のものです。それではダメなのですか?」
唇を離し、信長様の頬に手を当て本心を伝える。
私は、貴方の側にいられるだけでとても幸せなのに........
「それでは全然足りん。空良、力を抜いていろ」
「え?」
自身の指を舐めるとそのまま私の秘所を濡らした。
「ん!.....っ、ん」
熱く滾るものが私の寝起きの身体をこじ開ける。
「貴様は余計な事を考えず俺に抱かれていればいい」
「っ、.......んっ、ぁっ、ん、」
こんなにも激しく愛を伝えられて、嬉しくないはずがない。
「ぁん、信長様、.......」
武家の娘として育てられたからには、思いもせぬ縁で高い身分の殿方に求愛をされた際、でしゃばらず、偉ぶらず、けれども自尊心は曲げず、その方に影ながらお仕えなさいと教えられて来た。
だから信長様のその気持ちだけで私には十分で、これ以上はもう何もいらないと、その時の私は本気で思っていた。