第15章 道
「ん..........」
目が覚めると信長様の腕の中が当たり前となった天主での朝。
「おはよう。よく眠れたか?」
いつから起きているのか、信長様は肩肘をついて私の髪で遊びながら優しい目で朝の挨拶をしてくれる。
「はい。おはようございます」
起き抜けから信長様の熱い眼差しはとてもドキドキとして、微睡む余裕などないほどに心を騒がしくする。
「私、今朝も寝坊してしまってごめんなさい。すぐに支度しますね」
顕如様の件以来、信長様との夜の営みは容赦ないまでに続いていた為、私には中々起きられない朝が続いていた。
「構わん。無理をさせておるのは分かっておる。それに焦らずとも良い。もう少しこのままでいろ」
腕の中に閉じ込められるとそれだけでとても幸せで、まだ愛され終えてからそれほど時間の経っていない身体は途端にきゅうっと擽ったくなる。
「でも、そろそろ朝餉の膳が届く頃かも」
「いや、朝餉は今日から大広間にて皆と摂る」
「皆様と?」
「貴様がここに来るまでは、朝餉は広間にて武将達と共に摂っておったのだ」
「そうなんですね」
全然知らなかった。
私がここに来てからは、三食全てが信長様と二人だったから、その前からも一人でこの天主で召し上がられているのだと思ってた。
「もう貴様を見張る必要はないからな。貴様も今日より皆と一緒に食事をしろ」
「私も、ですか?」
でも、身分が全然違うのに.......って、信長様と一緒に摂ってた事も本当はかなりありえない事で......
「また、つまらん事を考えておるな」
私の心を読んだように、信長様は顔をしかめて私の鼻を摘んだ。