第12章 寄り道 前編
「空良、一緒に安土に帰るぞ」
「空良、一緒に安土に帰るぞ」
「空良、一緒に安土に帰るぞ」
「空良、一緒に安土に帰るよ」
「空良様、一緒に安土に帰りますよ」
「っ、...............」
それは、予想もしなかった言葉..........
止まった涙はまた流れ出す。
「うーー、ありがとうございます。たくさん、たくさん迷ってごめんなさい。これから、宜しくお願いします」
本当に、たくさん迷って心はずっと迷子になってた。それを皆んなはこんなに温かく迎えてくれて......
感謝する以外もう何もなくて、深々と頭を下げた。
「帰るぞ」
ぽんっと、私の肩に手を置く信長様は更に優しい顔をしていて........
結局大感動してしまい、信長様の胸を借りてまた大泣きした。
・・・・・・・・・・
「そう言えば、信長様甲冑は?」
帰る途中の信長様の馬の上、私は漸く信長様の出で立ちに気付く。
今更だけど、戦場に出向いて来たのに信長様は普段通りの装いで、何の武装もしていない。(いつも通りに刀とピストルは持ってるけど......)
「貴様を迎えに行くのに武装するなど無粋だ」
まるでただ本当に迎えに来ただけかのように事もなげに言う信長様。
「迎えにって、戦地ですよ?何かあったら......」
結果的には何もなかったけど、危険すぎる。
「甲冑を着ていては、貴様を抱きしめても抱き心地を確かめられん。邪魔なだけだ」
口の端を上げながら信長様は私をふわりと抱きしめる。
「貴様は柔らかくて抱き心地がいい。どんな生き物でもこうはいかん」
信長様はよく、私の事を生き物扱いするけど、本当に私の事を、犬や猫のように思っているのではないだろうか?
「もう、すぐ愛玩動物みたいに言う。私は人です。犬や猫じゃありません」
「当たり前だ。犬猫の方がもっとちゃんと言う事を聞く」
た、確かに..........