• テキストサイズ

叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第11章 傾国の姫






.....................ふぅ......と、信長様のため息が聞こえた。


「ここを狙え」

信長様は左の胸を指差した。

「................っ、」


「貴様と命を賭けるのはこれで最後だ。しかと狙え、外すなよ」


だらんと両手を下に下げ、信長様は力強い声で言う。



「っ....................何で....................?」



「俺の命は貴様にくれてやると言ったはずだ」



「.......っ、それは天下を取るまで待てって.....」


「そう思ったが、俺が取らずとも跡を引き継ぐ者が俺には沢山おる。貴様はそんなことを気にせず確実に俺の息の根を止めよ」


その言葉に嘘はないと.......その優しい目が語っている。



...............ほら、.............やっぱり私は、人を不幸にする。


信長様が冷徹なまでに人を殺め修羅の道を進んで来たのは、この日ノ本を一つに束ね豊かな国にする為。そんな途方もなく大きな夢がもう目前なのに、それを私が奪おうとしてる。


そんな事、して良いはずがない。


「信長様」


「............何だ?」


私はもう、誰も不幸にしたくない。

違う、そうじゃない。

願ってしまったから.............。
父上や母上の仇を撃つ以上に、あなたがその願いを叶える日が来る事を願ってしまったの。

私の望みはただ一つ。信長様が生きてその手に天下を掴む事。

だから............


「天下を.......必ず取ってください」


握り締めた懐剣を信長様から反対へと向けて、自分の心の臓を狙った。








...........................筈だったのに






/ 679ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp