第1章 本能寺の変
私を、どこかの密偵だと思っているのならその驚きは理解できる。
女が間者として生きて行くには、女を武器にする方法も教えられるから....
顕如様の元にも何人も女の密偵がいて、やはり男を惑わす手管を教え込まれていた。
けれども私は、密偵としての訓練を受ける事はなく、顕如様の身の回りのお世話をする女中として置かれていたから......
でもこんな事になるなら、手管を教え込まれていた方が良かった。
「そんな事...あなたには関係ない!」
キュっと、目を閉じて、唇を噛んだ。
こんな時、どうすればいいかなど、誰も教えてはくれなかった。
お輿入れが決まれば、母上や侍女たちから殿方との夜の営みについて教わるのが武家の習わしだけど、その母上も侍女達ももういない。
「阿呆だな。教えずとも抱けば分かる。先程の口づけも、お世辞にも上手いとは言えなかったしな」
「う、うるさっ、んんっ」
熱い吐息がかかると、唇を舐められ舌が差し込まれた。
「んーー、」
「ふっ、やはり下手だな」
唇を離した信長はそう言い、楽しそうに帯に手を掛けると、あっという間に解かれ、着物が開かれた。
「っ..............」
(怖い......でも、泣いたら負けだ)
裸を見られた恥ずかしさよりも、恐怖が勝った。
「傷一つない、真っ白で綺麗な身体だ。貴様が、大切に育てられた証だな」
信長はそう言いながら、つーっと私の身体の上に指を滑らせた。
「っ、.........」
ぞくりと肌が粟立つ。
「俺が.....怖いか?」
ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべ、信長は私を見下ろす。
「っ、...怖くなんか......っあ」
両胸を下から持ち上げるように揉まれ、蕾を口に含んだ。
「良い心がけだ、果たしていつまで持つか」
両胸を揉む片方の腕は下へ伸ばされ、誰にも触れられた事のない場所に触れた。