【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第4章 優柔と懐柔
涙はポロポロと止まる事はなく。
時計は二十三時半を過ぎた。
カチャリと鍵を開ける音がする。
は思わず玄関へ走った。
今か今かと待ちわびた彼がそこに立っていた。
勢い良く玄関まで走り、よくよく考えれば涙もポロポロと流れている。
片手で頭を抑えた。
予想だにしないの登場に、さすがに驚き凝視する沖矢だった。
『…いや、ごめんなさい。私、ちょっとおかしくなったみたいで。自分でも引いてる…』
の前に立つと「遅くなってすみません」と伝え、をすっぽりと抱え込み優しく背中を撫でた。
漠然とした不安感が安心感に変わると、涙は余計に溢れ、は沖矢の背中におずおずと手を回し彼の服をギュッと掴んだ。
しばらく玄関先で抱き合い、沖矢に手を引かれリビングに入る。
彼がソファに深く腰をかけると両手を広げてみせる。
誘われる(いざな)かのように彼の膝の上に対面で座り、首に腕を回し首元に顔を埋めた。
『昴さんのにおいする…』
それはの鼻腔が久々に感じたLUCKY STRIKEの香だった。
今までの彼女を顧みれば、自分に対し線を引く事はあれど、縋り付く事などあり得なかった。
どこか隙を伺っていた沖矢の目に欲の色が翳り始める。
の髪に顔を埋め、身体を抱きしめ背中を撫でる。
が落ち着くまで優しく優しく…。