【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第3章 予兆と徴標
「―――、――さん?さん!」
『…あ、ごめん、コナン君。何?』
「俺の話をちゃんと聞いて。FBIに保護されて欲しい。安室さんに殺される可能性もあるんだ」
零と過ごした短くも幸せだった時間を思い出した。
『それは、ない…』
「情報を得るために相手を籠絡するのは組織の常套手段だ」
『そう』
言えない事が自分の首を締め付けていた。
彼の擁護をする事さえできない無力感。
『…もう一つ聞いても?』
「うん」
『…沖矢昴は誰?』
コナンは驚き沖矢を見た。
「さん、どういう意味?昴さんは昴さんだよ?」
『茶化さないでって言ったよね』
「…っっ」
『唇も舌の感触もLUCKY STRIKEの香も、沖矢昴と手榴弾男が一緒だったのよ』
コナンはオイオイと思いながら呆れ顔で沖矢を見ると、沖矢は些かバツが悪そうにする。
『どっちが変装かわからない。顔も声も違う、けれど…』
は立ち上がり沖矢に近づき首元にゆっくりと手を伸ばす。
沖矢もコナンも黙って彼女の手を見ていた。
『……声は"コレ"でしょう?』
人差し指をハイネックに掛け捲くリ変声機を視線を移す。
今まで見たことのない妖艶な顔つきで笑う彼女に沖矢もコナンも背筋がゾクリとした。
「な、なんで…」
『…さぁ?何となくだよ』
「なんとなくって…」
コナンは記憶のない彼女を侮った事を後悔した。
仮にも組織に所属していた人間だと思い知る。
そして初対面の時に彼女から聞いた"感覚"の話を思い出し恐ろしく思った。
大きく息を吐き沖矢が変声機を切る。
「まさか、ここまでとはな…」