【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第3章 予兆と徴標
顔ははっきり見えない中、状況の意図を汲もうと男を見上げる。
口元に人差し指をあてられ"黙ってろ"と判断する。
次第に声が鮮明に聞こえ、聞き取れるようになった。
「――、――――けて中へ」
(?)
「ご心配なく、僕は君を生きたまま組織に連れ戻すつもりですから」
(……零?組織?)
「この爆弾で連結部分を破壊して、その貨物車だけ切り離し、僕の仲間が君を回収するという段取りです」
爆弾と言う言葉に身体がビクっと揺れると男に"大丈夫だ"と耳元で伝えられた。
「その間、君には少々気絶してもらいますがね」
(誰と何の話してるの!?)
本人の意思とは関係なく不穏な言葉は続けられた。
「まぁ、大丈夫。扉から離れた位置で寝てもらいますので爆発に巻き込まれる心配は」
「大丈夫じゃないみたいよ?」
(……女性の声)
「え?」
「この貨物車の中爆弾だらけみたいだし」
「!?」
「どうやら段取りに手違いがあったようね」
「仕方ない僕と一緒に来てもらいますか」
「悪いけど断るわ」
(……女性がドアを閉めた?)
「ふっ、噂通りの困った娘だ。少々手荒く行かせてもらいますよ」
(零、あなたは何をしているの??)
木箱に座らされる。
目の前のドアが開くが男の影になり零の姿は確認できない。
「ベルモットか、悪いが彼女は僕が連れて…
男が何かを投げると光に照らされ、非現実的な物が床に転がって行くのが目に入る。
「なっ、ん?手榴弾っ!?」
零の驚く声が聞こえるが、呆然とその光景を見続ける。
男はゆっくりとドアを閉めた。
「だ、誰だ!誰だお前!」
次の瞬間、爆発音がした。