【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
翌日になり、男は予定通りに退院を迎えた。
承認保護プログラムの手続きのために、病室にはジョディとキャメルが訪れていた。
「お久しぶり、!」
『えっと…、お久しぶりぶりです。色々とご迷惑をおかけして…』
「気にしないで!が無事に戻ってきてくれて良かったわ」
快活にウインクを投げ掛けるジョディに、も微笑みかけた。
そしてクローゼットにしまわれていた"あの服"を好みじゃないと言い切ってしまった罪悪感にひっそりと苛まれた。
「さあ、Mr.John Doe?身柄は私達が保護するわ。廊下で待っているわね」
「はい」
もジョディとともに廊下に向かった。
『あの、ジョディさん…、キャメルさん…、ごめんなさい』
の表情は明るいものではなく、降谷奪還の際にジンを逃したことへの謝罪だと察した。
「記憶、戻ったようね」
『え、ええ、すっかり』
「そう、良かったわ!彼も無事のようだしね!」
『本当にありがとうございました』
ジンの件に触れないジョディの優しさに、は謝罪の代わりに深々と頭を下げた。
「式にはよんでよね」
と、再度ウインクを投げ掛けながら告げるジョディには頭を傾げた。
『式?』
「え、違うの?」
『え?』
「婚約してるのよね?」
ジョディはの左手薬指にはめられた指輪をさした。
『あ…、これは』
そもそもプロポーズをされた記憶はにはない。
病室のベッドで寝ているときにはめられていた指輪だから、記憶を取り戻したところで降谷からもらった指輪としか認識はなかった。
「ジョディさん…」
たじろぐを見かねたキャメルがジョディを嗜めた。
まだ話を聞きたい雰囲気のジョディに、2人は苦笑いを浮かべた。
病室内では、すでに退院の準備を終えていた男が降谷に声をかけた。
「降谷さん」
降谷にとってこの男は油断ならない男でしかない。
訝しむ視線を投げ掛けたところで、男は微塵も気にする素振りすら伺えない。
食えない男だ。
「お大事に」
「どうも」
素っ気なく返事を返すと、男はドアの前で足を止めて視線を振り向かせた。
「いずれ、どこかで」
「…は?」
降谷の反論を聞かずに男は病室を去った。
「なんなんだ、あの男は…」