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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還



は東都警察病院へ訪れていた。

男に手渡された速効性の解毒剤には、副次的な作用が含まれていたのだ。
麻酔銃から目覚め、諸々の後処理を行っていたときに、降谷と男は高熱に倒れた。

そして、現在。
病室には2人向かい合わせでベッドの上に横になり、手首にはそれぞれ点滴が打たれていた。

『あの解毒剤、認可外の成分ばかりだった…』

担当医から一通りの説明を受けたは、降谷のベッドの横に備え付けてあるパイプ椅子に腰を掛けた。

『彼は明日には抜けるだろうって先生が言ってたわ』

が男を見ると、男はから降谷に視線を移した。
点滴によって症状は落ち着いていても、身体の気怠さは重いものだった。
微睡んだ降谷がに問いかけた。

「僕は…?」
『零は…、厄介な薬も盛られていたから、それも合わせて3日ほどかかるみたい』
「3日…」

後処理もさることながら、早く現場に戻らなければジンとベルモットの痕跡は刻々と消えていく。
元より痕跡など残されていないかもしれない。
それでも、と、降谷は居ても立っても居られない気分だ。

その様子には察せざるを得ない。
どんな状況であったとしても、あの2人を逃したのは、自身だ。
相手が相手だと、誰もを責めるようなことはなかった。
でも、逃亡を図られたというより、明らかに逃したという自責は重いものだ。

『…ごめん、なさい』

ベルモットが現れた頃から記憶の途切れた降谷は、達にどんなやり取りが交わされたか推測する他なかった。
自身が焦れば焦るほど、それはに責を負わせるものと降谷は思った。

「のせいじゃない、僕が不甲斐なかっただけさ」

降谷はそっとの方へ手を伸ばした。
は少し体温の高い手を両手で包んだ。

『違う…、違うの』

そもそも降谷が捕らえられたのは、を誘き出すための人質であった。
巻き込んだのは、自分自身だった。
そして逃したのも自身だ。

『零が捕らえられたのは私のせいで、ジン達に逃げられたわけじゃない、私が逃したの』
「どういう…」

はぽつりぽつりと溢しはじめた。

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