【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
「な…!」
『え…』
マスクが剥がれると、美しい金髪がふわりと舞った。
「ジン、いい加減に子猫ちゃんは諦めなさい」
「なぜここに…」
組織の壊滅目前にいち早く司法取引を持ちかけ、承認保護プログラムを受けたはずの彼女だ。
「裏切り者のベルモットじゃねえか」
『一体…いつから…』
ベルモットはわざとらしく溜め息をついた。
「あなた達を誘導している途中よ、こんなことにも気が付かないなんて間抜けにも程があるわ」
ベルモットは降谷の首に向けて麻酔銃を撃ち込んだ。
の落とした物だ。
「な…、なん…」
降谷はその場で膝から崩れ落ちた。
『零!』
「子猫ちゃん、動かないことね。作戦までに猶予があるわ」
麻酔銃の銃口はに向いている。
「子猫ちゃんまで眠ってしまったら、彼もあの男も船と沈むことになるわよ」
『っ…』
「私はただ、哀れな男を拾いに来ただけよ」
ベルモットはジンの前で屈んだ。
「ジン…」
「ベルモット、哀れとは言ってくれるじゃねえか」
「あの時に終わったのよ私達。もう諦めなさい」
ジンは抵抗することなく、ベルモットの肩に腕を回し立ち上がった。
「ジンは私が預かるわ」
『どうして…、そこまで…』
「情くらいは、あなたにもあるんじゃないかしら?」
恐怖による支配、そう育てられたには、ジンに対しての思いがいまいち理解できない。
ただ、明確な思いもある。
『…私を地獄から拾ってくれたことは……』
組織で置かれた自身の境遇を思えば、感謝しているのとは違う。
『でも…』
それでも組織に関わることがなければ、降谷との出会いもなかったのも事実だ。
このふたつだけは…。
「もう結構よ」
『……』
言葉を続けることができなかったを振り返ることはない。
「二度と会うことはないわ…。それじゃあね、子猫ちゃん」
ベルモットはジンを連れてコンテナから去った。
は二人を追いかけることができなかった。