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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還



─「───、聞こ───、──る?」

しかし流れたノイズはノイズのまま、通信相手の志保の声は聞き取れるものではなかった。

─『志保?聞こえる??』
─「──リが───に──」
─『聞こえない!志保!?』

ピアスの宝石を何度か押し込み直し、通信を試みるも事態は好転することはない。

『零の方は…?』

降谷の持つピアスも同様の反応を見せた。

「こっちも駄目だな。故障の類いではなさそうだ」

首を降る降谷に、の表情に焦りが浮かぶ。
額を押さえながら苦々しく男が呟いた。

「…もしや…通信抑制装置のせいかもしれません」
『抑制装置って…』
「そんなものまで。一筋縄では、いかないってことか」
「事態に気づいたのかもしれませんね」

そこで三人はハッとする。
気付かれたのなら、一体いつからなのか。

「どうりで、道中が手隙なわけだ」
「抜かりました…」
『とにかく、コンテナの影を使って船首まで…』

男を先頭に上体を屈めながら、コンテナの影を利用して縫うように移動をはじめる。

「それにしても…静かすぎるな…」

気付かれているのなら、何か動きがあってもおかしくはない。
上空は戦闘機と、徐々に近づく軍用ヘリが小さな喧騒を生んでいた。
しかし、甲板はいまだに沈黙を保っている。

『不気味なほど静か…』
「慎重に進みましょう」
「船首まで行ければ…」

通信機器が役に立たない以上、こちらの無事を知らせるには自陣の目につく場所に移動する他ない。

『あと数分で…』

数分で作戦は決行されると伝えようとしたの言葉は、不自然に途切れた。

「数分で?」

続きを促して振り返る降谷の背後に、数秒前までいたの姿はない。

「…?」

神隠しのように、忽然と姿を消していた。


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