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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還



男は多くの仮面を持つ、特殊工作員、特务だ。
厳しいお国柄から、重要な任務についた男に失敗は許されない。
完遂できなければ、国と潜入した組織に追われることになるのは明白だ。
こうなってしまった以上、協力することで身体の安全が得られるなら、他に方法はない。

それと同時に、自身の人生を顧みる。
しがらみばかりの職業に、正義も自由も何もない。
その結果がイレギュラーな存在に摘み取られた自身の任務だ。
男はどこか晴れやかな表情を浮かべた。

「やれやれ…とんだ日ですね」
『腹は括れた?』
「ええ。我が身可愛さでしょうか」

男は促すようにと降谷を見た。

「、この後はどう動けば?」
『作戦を伝えるわ』

事態が動き出すまでに、おおよそ10分ほど。
それまでにどう行動に移すか、は二人に伝えた。

「この機動力は…。やはり…、あの組織を壊滅させたのは…」
『ご想像におまかせするわ、って言ったでしょう?』

が含み笑いを浮かべると、その表情に男は目を瞠った。
男の瞳には何とも妖艶に写っていた。

「あなたは美しく、勇ましい。下船後は私と共に遠くの地へ行きませんか?」

この場と状況と、あまりにもそぐわない言葉を吐きながらの手を取ろうとする男との間に、降谷はずずいっと割って入った。

「は?」
『へ?』
「冗談です」
「…笑えない冗談だな」

なんとも場違いな空気感に呆気にとられると、油断を許さない降谷、そして飄々としている男と、は場を仕切り直した。

『…冗談はそこまでにして。甲板へ出るわよ』
「私が先に。合図に従ってください」
『分かったわ』
「了解した」

不本意ながら降谷も了承すると、三人は部屋を出た。
緊張感に包まれながら、男の指示通りに慎重に先を急ぐ。
あいにく甲板までの通路に人気はなく、あまりにも呆気なく目的地まで辿り着いていた。

「拍子抜けだな…」
「危険が迫っているなど微塵も疑っていませんから」
『それにしても…』

が言いかけると、遠くの海面が明るく照らされはじめ、一足先に数機の戦闘機が貨物船上空を通りすぎた。

『来たわね』

タイミング通りに、のピアスからノイズが流れた。


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