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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還



は降谷と視線を合わせて笑んだ。
そして背後をかためる男に声をかけた。

『申し訳ないのだけれど』
「妙な真似は…」
『ジンは気まぐれなの、ここに戻る前に、ね』
「何を…」

左足のヒールを三度踏みしめてから右側にスライドさせると、降谷目掛けて蹴りあげた。
ヒールを飾り立てていた装飾部分は外れ、放物線を描きながら降谷の手に渡るなり、男に向けて構えた。
男の視線はヒールから飛び出したものを追いかけ、一瞬の動揺が生まれた。
はその隙をつき男の腕を払いのけ、体勢を屈ませながら木箱の前へ飛び退いた。

「な…!ヒール部分に小型銃…ですか」
「映画のようでしょう?さて、形勢逆転です」

男はに視線を移した。
右足のヒールもまた同様に、それを男に向けて構えた。
志保と博士の手により仕込んだのは、左に小型拳銃と右に麻酔銃だ。

『さすが、零』

察しの良い降谷に、はこの場にそぐわない笑みを浮かべていた。
それに答えるように、首を少しだけ傾けると降谷も口角をあげた。

「ミスティ、私は貴女を侮っていたようですね」

男はナイフを床に落とし両手をあげた。
その様子を確認すると、は木箱を探り始める。

『あら、本当にあったわ』

破損と汚れから事故の痕跡が伺える衣服と、一丁の拳銃を取り出した。

「本来ならば破棄されるものです」
『どういうこと?』

男は小さく息を吐くと、観念したように口を開いた。

「バーボン、あなたと同様に私にもいくつかの顔があります。あなたは私の任務完遂後に解放予定でした。生きていれば、の話ですが」
「なるほど、それが工作員としての任務ですね」
「あなたの拉致や、ミスティ、あなたの乗船はイレギュラーなものでした…。……厄运当头」

所持品を手に降谷の元へ歩くの耳に、男の呟く中国語が届いた。

『不運に直面?それはあなた次第でしょう?』
「完遂できなくては、意味を成しません」
『どういう…』

そう言い掛けて理解する。
そもそも二人の巻き込まれた状況の元凶が何かかを。

「そういう背景でしたか」
『ジンの情報も保護も、全てはあなた達が最初から仕組んだこと…』
「ジンの身柄は譲りませんよ」
「あなた方を侮ってしまった…、私の甘さが敗因ですね」

男は弛緩し、諦めたように呟いた。

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