【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
シャワーを浴びながら、鏡に映る自分を眺めた。
あの日を隔てた自身の身体は、消すことのできない傷痕だらけだ。
『また…傷が増えるのかしら…』
ジンと対峙すれば無傷ではいられないのは、自身の脇腹が物語っている。
(彼を助けられるなら、傷なんて安いものだわ)
何故かふと、以前にも似たような言葉を思ったような気がした。
(私も、そう思った?)
鏡に映りこむ自分に問いかけても、傷痕をなぞってみても何も教えてはくれない。
ただ彼を助けたいと強く思うのは…
(私が選んだこと)
覚えていない自分が何を思って何を感じていたのか、それを知りたいと思っていた。
例えばそれが深層部分に残っていたとしても、今突き動かされているのは自分自身。
『あなたじゃない』
吹っ切るように、鏡に映る自分を過去の自分に見立て呟いた。