【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
ペットボトルから零れる水の冷たさに我に返った。
慌てて拾い上げるも、足元のラグはすっかり水浸しになっていた。
しかし今はそんなことに構っている暇はない。
狙いがわからない以上、警戒は怠れない。
『こんな時に1人だなんて…』
ぽろりと零れてしまった不安にはっとし、気を引き締める。
『ここが安全とは限らない…』
スマホには志保からの着信のみ、この状況で降谷から連絡がないということは、恐らくその暇すらないということだと察する。
志保へ折り返し通話をかけた。
「、今どこにいるの」
『自宅よ』
「ニュース見たわね…」
『ええ…、執念深い男よ、何をするかわからない』
「そうね…。私達は一度工藤君の家に集まるわ。もすぐに来て」
『わかったわ』
はクローゼットから次々に着替えや靴を取りだしスーツケースに放り込み、右側に深いスリットの入る黒のワンピースを着ると、羽織にライダースジャケットを選んだ。
リビングに戻り、重厚なガラスケースの前に立ち指紋認証のシートに指をあてた
『やっぱり、私も使えるのね…』
組織の壊滅後、今日と昨日で現状の覆ったあの日から無縁になった装備品に触れた。
ライフルケースにライフルや拳銃と、詰め込めるだけの武器をしまう。
そしてショルダーホルスターにS&Wとホルダーにナイフを装着した。
黒いピンヒールのパンプスに足を通し、ライフルケースを背負い、スーツケースを片手に部屋を出た。
FDは絶賛入院中のため、タクシーを拾おうと通りへ出ると、ドイツ生まれの黒塗りセダンが停まっていた。
は覚えのない車に警戒する。
すると車から降りてきたのは新一だった。
『新一君!』
「迎えに来た方が確実だろ?」
『ええ、助かったわ』
新一はから荷物を受け取りトランクへ積めた。
ライフルケースに苦笑いを浮かべた。
「おいおい…銃刀法違反だぜ?」
は妖しく笑い、ジャケットを少しだけ巻くって見せた。
『備えあれば、よ』
後席に乗り込むと、運転席には金髪の女性が座っている。
「ジョディよ」
本名を名乗るべきか逡巡させるけれど、新一の知り合いであれば問題はないと結論付けた。
『です』
「安心して、知っているわ」
ジョディはミラー越しにウインクをした。