【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
(待って…一昨日は確かに…)
は確かにここを訪れており、ジンにバーボンの監視任務を言い渡されていた。
(何がどうなってるのよ…)
バーボン監視以前の記憶までしか取り戻せなかったには、まさに。
(ちょっと…本当に異世界みたいじゃない…)
自身の頬を思い切り叩いた。
(だから!私は異世界ゲームなんて知らない!)
はFDのトランクを漁りはじめた。
(とにかく建物の中を確認しないと…)
役に立ちそうなものを物色する。
(なんか…やたら服が多いわね…)
クリーニング済みのワイシャツにスラックスとクロックスを引っ張り出し着替える。
アウターの類いも他にあるけれど、は無意識的にバーボンのジャケットを羽織直していた。
ほかにハンディライトを手に取った。
(こんなものかしら…)
そして規制線を潜る。
暗い中をハンディライト片手に、ぶかぶかのスーツにぶかぶかのクロックスで歩く。
見えてきた本拠地の建物は、至るところが崩壊し、自身の知るものとはかけ離れたものだった。
さらに奥へ進むと、研究室のあった場所には、ぽっかりと抉られたような穴が空いていた。
それは昨日今日空いたようなものではなく、いくらかの時間が経過したものだと見てとれた。
『…なにこれ、廃墟じゃない…』
は呆然と立ち尽くした。
しばらく呆けていると、特徴的なエンジン音が辺りに響いた。
はその音の正体を知っている。
(ちょうど良かった)
その誰かを待つ。
暗闇の中を月明かりに照らされたシルエットが浮き上がった。
『ねぇ、これはどういうこと?』
背後にある廃墟のような建物を親指で指した。
けれど男は何も答えない。
『聞いてるの?ライ?』
ライは額を押さえた。