【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
頼りない常夜灯と、窓から差し込む月明かりが廊下を照らしている。
はジャケットのポケットを探り車の鍵と財布を手に入れた。
(…車の趣味は良いわね)
突き当たりの非常扉から階段を降り、駐車場へ向かう。
駐車率の少ない深夜の駐車場から、目当ての車はすぐに見つかった。
(白か、私と同じじゃない)
FDに乗り込みエンジンをかける。
純粋なロータリーサウンドは心地好く、自身のFDよりも軽いクラッチは裸足に優しかった。
そして…車内の香り。
(…単純に車の匂いとは違う…何か、…まぁいいわ)
組織の本拠地へ車を走らせた。
首都高にあがりアクセルを踏み込む。
現状の整理を試みる。
何かの任務に失敗した覚えもなければ、病院の世話になる怪我を負った記憶もない。
まるでパラレルワールドにでも迷いこんでしまった気分だった。
(あれみたい、異世界なんとかってアプリゲーム…)
違和感は生まれる。
(ゲーム?私は…ゲームなんてやらない…)
胸の辺りがざわざわと落ち着かない気分を払拭させるように、更にアクセルを踏み込んだ。
首都高を降り工場地帯を抜けたその先に、の目指す大手製薬会社はある。
(…何かおかしい…)
夜間になると点灯されているはずの敷地内はまるで闇に飲み込まれたようだった。
セキュリティゲートの前に車を停める。
(は!?キープアウト…!?)
ゲートに通電されている様子は見られずセキュリティは意味をなさない。
代わりと言わんばかりに規制線がはられていた。