【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
その日からジンの部屋がの家になった。
家族と言えるほど優しくもなければ、保護と言えるほど面倒見も良くない。
身の回りのことは自分で出来たは、手の掛からない子供だったのも幸いしていた。
ただ、ジンはに様々なことを教えた。
例えそれが子供に教えるにはそぐわない内容でも、自身に関心を寄せる誰かがいることが、はなにより嬉しかった。
数年が経過した頃に、ははじめてジンに抱かれた。
の世界は、ジンを中心に動いている。
拒むことはない、ただ自然に受け入れた。
標的を懐柔するための術であり、武器でもある、手練手管を仕込まれ、ジンの人形は出来上がった。
黒の組織に属すことになったはコードネームを与えられ、様々な任務を完遂させた。
新たに与えられた任務は、組織に属することになった"バーボン"の監視を言い渡された。
(そう…準備期間は2日。明日からバーボンの監視を開始する…)
ところがそのバーボンがベッドに頭を預けて寝ている。
(写真でしか確認していないけれど…身体的特徴から間違いなくバーボン本人よね…)
周囲を見渡し、ここが病室であることを理解した。
しかし何故病室のベッドで寝かされているのかがわからない。
(何がどうなってるの…)
事態の収集がつかない。
(…?これは…私のじゃないわ)
は握りしめていたシルバーリングをシーツの上に置いた。
(とにかく、すぐに本拠地へ…ジンの元に帰らなければ)
ベッドをそっと抜け出し、ハンガーにかけられていたジャケットを羽織った。
(…?何の香り?)
鼻をくすぐる残り香にも、病室を飾るブルースターに振り向くことなく病室を抜け出した。