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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還


灰原がドアをノックすると部屋からか細い声が出迎える。
ベッドのリクライニングに背中を預け、ゆったりと腰かけるは、一輪のブルースターを手にしていた。

「、入るわね?」
『あ、あの、看護師さんから…聞いたの…2人が私の世話を?』
「ええ、私と、えっと…私は宮野志保、それにこの人は…」

は志保の目配せする男性を見る。

「降谷零です」
『あら…』

は降谷と手元のブルースターを見比べた。

『あなたの瞳の色、この花と同じね』

記憶はないとわかっているからこそ、その言葉に胸がつまりそうになる降谷は、堪えて答える。

「その花は、君の好きな花でブルースターと言うんだ」
『ブルースター…』

志保はパイプ椅子に、降谷はベッドに腰を掛けた。
はしげしげと手元の花を見つめている。

『ふふっ、かわいい花』

穏やかに笑うはとても記憶がないとは思えないほどに落ち着いていた。

『あ…私の身の回りのこと、ご迷惑をおかけしました』
「は私達の大事な人だもの、そんなの当たり前よ」
『私達?』

は2人の顔を往復すると申し訳なさそうに子首をかしげた。

『何も覚えていないの。私…まるでからっぽ』

ブルースターを握るの手を降谷は両手でそっと包んだ。

「君の名前は、来月25歳になる」
『…、私の名前。宮野志保…降谷零………』

知り得た情報を呟いてみても記憶の糸口には至らなかった。
は目に見えて肩を落とした。

「大丈夫だ、焦る必要はない」

しかし淀みない眼差しと言葉は、の心にすとんと落ちる。

『ありがとう』

たった一言のお礼を告げたの瞳からは、涙がとめどなく溢れる。

『あれ…私…どうして…』

の深層心理がそうさせているのだと、降谷は胸がつかえそうな思いに抗えず抱き締めた。

その様子を半ば呆れ顔、逆の立場ならもきっとと考えれば、志保はなんとも優しいため息をついた。

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