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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還


あの時、確かにどんな彼女でも良いと降谷は願った。
嘘も偽りもないただひたむきな願い。
小さく息を吐き前を見る。

「どんな彼女でも…生きて、そこにいてくれるなら、僕にはそれで十分だ」

淀みない純粋な想いに灰原も肩の力が抜けていた。
そして想像する、ならと。

「そうね…立場が逆でも、きっと同じことを言うでしょうね」

主治医は腕を組みながら首をかしげた。
今までの経験上、記憶喪失と伝えられた相手は、患者との関係性が近ければ近いほど、悲壮感や喪失感を漂わせるケースが多い。
若干の動揺は伺えたものの、2人のように落ち着いて見えるのは珍しい反応だった。

「しかし……、君たちはずいぶんと落ち着いているね」

実は今回が2度目で、1度目は薬物による記憶喪失で、その薬を作ったのは目の前に座る灰原でと…なんとも説明しがたい話に、2人は顔を見合わせた。

「それに、事件の被害者だとは耳にしているが…、いや、申し訳ない。少し聞きたがりが出てしまったようだね」

趣味はハードボイルド小説を読むことな担当医は、日本ではあまり目にすることのない銃創や、長年装着しない限り付かないだろうベルトの痕が気になりつつも、彼女は何かしらのエージェントなのだと勝手な想像で幕を下ろした。
そして今後の検査や退院予定など事務的な会話が終わった。

「さて、今後はどうするつもり?」

病室へ向かう廊下を歩く。

「あなた…いきなり抱きつくとか、を驚かせるような真似はしないでよね」

灰原の問いかけに降谷はキョトンとしている。

「ちょっと……」
「焦るつもりはないさ」

灰原のじっとりとした視線を受けながら、病室にたどり着いた。

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