第10章 零の奪還

組織壊滅後に多忙を極めていた降谷に代わり、日常のの身の回りのことは灰原が補っていた。

いつ目覚めても良いように髪を洗い身体を拭き、綺麗なままのを保っていた。
そしていまも病室にはたくさんのブルースターが飾られている。
その花瓶の水を換えるのも日課になりつつあった。

その日も変わらずに最後の花瓶の水を変え終えた灰原は病室に戻った。
ひとつ違っていたのは、ベッドで眠るの腕はまるで宙を掴むようにあげられていた。

「っ？目覚めたのね！？」

灰原は花瓶を窓際に置くと、の枕元にあるナースコールに手を伸ばした。

はその女性をぼんやりと霞んだ視界で見つめていた。
が目覚めたのは、あの日からすでに半年もの際月が経過していた。