【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
救急車が東都警察病院へ到着すると、すぐに手術室へ運ばれた。
薄暗い廊下に赤い表示灯が点灯される。
降谷は手術室前のベンチに前傾姿勢で腰を掛け、祈るように両手を組んでいた。
しばらくするとコナンから連絡を受けた蘭と園子に博士、ジョディにキャメル、そして赤井に連れられたコナンと灰原が降谷の元を訪れていた。
降谷は全てを悟っていたかのようにUSBをコナンへ、1枚の写真を灰原へ手渡した。
「…が組織から持ち出したものだ」
コナンはUSBを見つめた。
「何で…俺に…」
「君に必要なものだろう…」
「…そうか…、もう隠す必要もないのか…」
組織は事実上、壊滅を迎えた。
シェリーが組織に追われることも、バーボンとしての降谷を警戒する必要もなくなっていた。
「…がこれを…」
灰原は亡き姉との唯一の記録を胸に抱き締めた。
「降谷君、の容態は」
「まだわからない」
「そうか…」
赤井は降谷と対面側のベンチに腰を下ろした。
コナンと灰原もベンチに腰を掛けようとすると、赤い表示灯のライトは消灯した。
時間にして5時間ほどで手術は終わり、手術室から執刀医が出てきた。
固い面持ちの降谷が立ち上がると、主治医は対照的に穏やかに微笑んだ。
「無事に終わりましたよ、あとは彼女の体力次第ですね」
降谷は少しだけ緊張感から解放され、お礼を伝え深く頭を下げた。
降谷は時間の許す限りのそばに寄り添った。