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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還


降谷は座席に腰をかけると、両手で頭を覆い俯いていた。
は言った、降谷を残して逝ったりと、信じて、と。

どこかその言葉に甘えていたのかもしれない、もっと別の手があったのかもしれない、もっと早く…、思考を巡らせれば巡らせるほど後悔ばかりに支配される。
焦燥を募らせる降谷に、隊員が声をかけた。

「…あの…胸の間に何か挟まれているようです」
「…?」

降谷が確認すると確かに何かが胸の谷間に挟まれている。
手を伸ばすと折り畳まれた1枚の写真とUSBだった。

折り畳まれた写真を開くと2人の姉妹が写っていた。

「君は…」

あの場所で何を…と言いかけた瞬間、ついの今まで生きている証だと伝えていた電子音は、突如として不快な音に切り替わった。

「な…」

まるで目の前が暗転してしまいそうな錯覚に陥る。

「容態が急変しました!」

慌ただしくなる隊員を押し退けると、降谷はの上に馬乗りになり胸骨圧迫と人工呼吸をはじめる。

「っ!!」

胸骨圧迫を1分間に120回、30回ごとに呼吸を1秒を2回吹き込む。
必死に的確に処置を行う。

「戻れっっ!!」

隊員はアンビューバッグをの口元にあてると、降谷のマッサージに合わせてポンプから空気を送りはじめた。

「約束っ、したじゃないか!!」

の動かなくなった心臓を必死に押し続け、人目もはばからず降谷は泣いていた。

「何度、何度君を繋ぎ止めれば…」

降谷の涙はぽたぽたとへ落ちては頬を伝い零れ落ちる。

「どんな…君でもいいんだ…」

感情表情の若干乏しかった、降谷を覚えていなかった、自身に戸惑っていた、降谷を突き放した、楽しそうにゲームをする、隣で朝を迎えた、
愛しい人を思う。

「…逝かないでくれ……」

降谷の悲痛な思いは心肺蘇生のタイムリミットは近づいていた。

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