【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
「の声だ!」
「あっちの方からだよ!!」
2人はどちらともなく声のする方へ走り出し、廊下の突き当たりを数度曲がる。
そこにを抱き抱えるジンの姿があった。
「…ジン…、貴様!」
「バーボンじゃねぇか…」
「を離せ…」
その一言にジンの表情は固くなっていた。
降谷から向けられる明確な殺意と、ミスティをと呼び、ベルモットの言った"誰か"が頭をよぎる。
そして本拠地が現在置かれている状況。
「…バーボン、お前が」
薄れゆく意識の中で降谷の声が届く。
必死に意識を繋ぎ止め、は瞼をもたげた。
視線の先には彼の姿がある。
『……れ…い…?』
「、遅くなってすまない。もう少し待っててくれ」
淀みない降谷の瞳と言葉に安堵し、うっすらと微笑んだ。
まるで信じられないものを見るように、ジンはに視線を移した。
「ミスティ…お前まさか」
はジンの目を見つめ最後の気力を振り絞った。
嘲るでもないただ純粋な想い。
『…私…ね……、ブルースターが…好きなの』
怪訝そうに見つめるジンにのみ伝わる会話。
『彼の瞳に…良く似てる、でしょう?』
「言うじゃねぇか」
弱々しく微笑みながら、ワンピースの裂目に手を潜り込ませ、太股のナイフホルダーからそっとナイフ握りしめる。
ジンの太股に突き刺した…、つもりだった。
「っち!」
しかしにそこまでの力は残ってはいない、ナイフはジンの太股を薄く掠めると手から滑り落ちた。
(………ごめんね、あとは…)
ジンの腕の中での意識は途絶え、人形のようにだらりと力を失った。