【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
は壁にもたれたまま視線を背後にやった。
『…なんなの…こほっ…不死身かなにかなの…』
そこには負傷は見受けられるものの、明らかに自身より軽傷に思えるジンの姿があった。
口の端を片方だけあげながら不気味に笑うあの表情をしていた。
「…お前の好きなバラのように真っ赤な血の色で染まってんじゃねぇか…なぁミスティ」
『…あら、…私は好きじゃないのよ、っこほ…、真っ赤なバラ…』
この場から逃げる気力すら残されていないは、迫り来るジンを壁にもたれたまま眺めていた。
しかし人形だった頃のならば決して口にすることはなかった皮肉は口をついた。
『…あとは…こほっ…ふぅ、あなたとのSEXもウンザリ』
目の前に立つジンを嘲るように見上げると、緑色の瞳は見開かれ口角は両方とも反りあがっていた。
瞬間的にの背筋はゾクリと粟立つ。
それでも、空気に飲まれまいと口を開きかければ、ジンの手がの腹部に延び、親指は躊躇なく銃創をきつく押し込んだ。
『…ぅ、ぐっ…』
激痛は耐え難いもので瞳から涙が滲み出し顔を歪めるを、ジンは恍惚そうに見下ろした。
「お前にはそーいう顔が一番似合ってるぜ、ミスティ」
小刻みに小さく息を吐くは口の中に充満する鉄の味をジンの顔へ吐き飛ばした。
『はっ…はっ…、ぐっ、クソサディスト…』
の血液混じりの唾液はジンの右頬に当たり、親指で掬うと舐めとった。
銃創を押さえた親指は更に強まり、耐えかねたの悲痛な叫びは辺りに響き渡る。
『っひ、あ゛ああっ…ん、ぐぅ』
すぐさまジンの唇で塞がれ、くぐもったものへと変わった。
口づけと呼べる甘いものではない息苦しさ、銃創を押しこまれた痛みと流れすぎた血液は、から自立する力を奪っていった。
膝から力が抜けずるずると落ちかけるはされるがまま抱き寄せられると、嫌悪感を滲ませる。
布越しにジンの膨らむ固いモノを感じた。
ジンは現状の把握が疎かになるほどに、反応の薄かった人形ではない、今目の前にいるに興奮を覚えていた。
(……最悪)
の意識は朦朧と薄れつつある。
けれど一瞬だけ響き渡った叫びは、彼らの耳にもしっかりと届いていた。