【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
「…どこだ、どこにいるんだ…」
「安室さん、落ち着いて!」
の履いていたと思われる黒いハイヒールを握りしめ、降谷は辺りを見渡す。
が姿を消した屋上と、この場に残された既視感に、青色の瞳は大きく揺れ降谷から冷静さを奪うには十分すぎるものだった。
しかしながら此処には、欠けた降谷の冷静さを補える小さな探偵の姿がある。
コナンは辺りをじっくりと見渡した。
の行方を指し示すようなわずかな血痕を見つけ、その血痕を人差し指で掬うと、凝固前の液状をとどめたものだった。
「安室さん、血痕が凝固前だよ!まだ遠くには行ってない!」
降谷に向けのものと思われる血液が付着した人差し指を見せた。
「焦りは多くの事を見落とすよ…」
コナンの一言に降谷は小さく息を吐きネクタイを緩める。
両手で頭を覆うと、髪をかき上げた。
「…もう大丈夫だ」
その瞳は迷いを裁ち切るように鋭さを取り戻し、2人は頷き合い、てんてんと散る血痕をたどった。