【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
陽も暮れかけた時分、表向きは大手製薬会社を構える黒の組織の本拠地は、前例のない荒事の渦中にあった。
警察機関から自衛隊に緊急車両、はたまた諸外国の警察機関と、通常なら表舞台には立つことの少ない諜報機関をも組織の壊滅にあたり集結していた。
その様々な機関の車両は膨大な敷地を取り囲むほどで、空からはヘリが地上を照らし包囲網は万全、そこにはもちろん小さな探偵の姿もあった。
降谷とコナンが建物に忍び込み、制御室で全ての電子ロックを解除した後に起こす爆破が、一斉検挙ののろしとなる。
全てが手はず通りに進んでいた、はずだった。
研究室が爆発するまでは…。
あの日、ライフルと血痕を残し屋上から忽然と姿を消したの消息を、降谷がつかんだのは間もなく。
組織へ標的を定めた降谷は、同様に組織に潜伏していたNOC達へ働きかけると、組織に驚異を抱いていた諸外国も利害一致となり、国境を越えた協力体制は結ばれる。
組織が置かれだした流れをいち早く掴んだベルモットは、自白と情報提供…何より一番の弱点になりうるの存在を盾に降谷に司法取引を持ちかけた。
組織の深層部分に組みしているベルモットから得られる情報量の多さは有力であり、FBIにより証人保護プログラムは適応される結果となった。
そのベルモットからの情報にあったの監禁されている棟での爆発。
制御室からロックが解除されているこの状況ならば、十中八九この爆発はが絡んでいると容易に想像はつくものだった。
降谷とコナンは焦りの滲む顔を見合わせた。
「安室さん…、今の爆発って…」
「あぁ、おそらく……、が…」
無事を願う反面、脳裏をよぎるのは最悪な結末、今すぐにでも駆け出したい想いは、利害一致とは言え自身が築いた協力体制の立役者を担う降谷に二の足を踏ませた。
胸元のシャツを鷲掴む降谷の背後から聞き違えることのない声がする。