【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
『…っ、こほっ…』
弱々しく小さい咳き込みに目が覚めると、横たわる自身の目の前には瓦礫が散乱していた。
手元には"そんなもん"ことフックガンが転がり、壁にはフックが刺さりワイヤーが垂れ下がったままになっていた。
爆発直前にフックガンを撃ち込んだは、風圧に煽られ壁に叩きつけられていた。
(…どうにか…助かった…)
軋むような身体の痛みを堪え上体を起こすと、腹部を激しい痛みが襲った。
(……っ、…あの時…)
爆発の直前に聞こえた引鉄の音は、の腹部を貫いていた。
(…はじめてジンに撃たれたわね…)
背中越しに撃たれたはジンの顔を見てはいない。
それでも何となくどんな表情をしていたのかは見当はついたものだ。
(…あの時と同じ、きっと不気味に笑って…)
立ち上がろうと床に手を着くと、生暖かいぬめりを感じた。
そこには小さな血溜まりができている。
怯んでしまいそうな自身を言い聞かせるように腹部を手で押さえた。
(大丈夫…、こんな出血、まだ致死量じゃない…)
精一杯の力を込めてよろよろと立ちあがると、今一度辺りを見渡した。
研究室やその周辺はぽっかりと穴が空き、はひとつの目的を遂げた事に頬が緩んだ。
『…ふふ、っこほ…、ざまぁみろ…よ』
壁に寄りかかり1人呟いた。
そのまま壁に身体を預けながらふらふらと歩きだす。
自身に残された最後の目的。
(このUSBを、コナン君に…)
力を振り絞り歩くの背後から、パキリと瓦礫を踏む音が耳に届いた。