【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
「こんな場所でそんなもん握りしめて何をしている、ミスティ」
鋭く射ぬく視線と冷えた声は、背筋に嫌な汗を浮かばせる。
『ジン…』
後ろ手に扉を閉め、怖じけを悟られないように口を開く。
『あなたこそ、こんな場所で私にかまっている暇なんてないんじゃない?』
窓から見える、今もなお上がり続ける黒煙を示す。
「ここはもう終わりだ、来い」
腕をつかもうと自身に伸びるジンの腕をはらうと、数歩後ずさる。
『残念ね…ここが終わりじゃないの、あなたも私も、…組織も全部終わりよ』
「…ミスティ、お前まさか」
『ええ、そうね。ところであなたも逃げた方が良いんじゃない?』
「…何…?」
言い終わるなりジンに背を向け走り出す。
ジンの出現により、爆発に耐えうる十分な距離を確保する余裕はなくなっていた。
「ミスティ!!!」
ジンの苛立つ声と同時に聞こえるのは拳銃に手がかかる音。
は握りしめていた"そんなもん"の引鉄を進行方向の先にある離れた壁に向けて撃ち込んだ。
発砲音と重なるように爆弾のタイマーは起動し、ジンを巻き込みながら爆風は自身の身体にもせまっていた。