【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第10章 零の奪還
ジンが"私"に与えた任務は、組織に属する事になった"バーボンの監視"。
"私"とバーボンに面識がなかったのは好都合で、しばらくは動向を言葉のままにただ監視を続けた。
時には喫茶店の店員として、へっぽこ探偵の助手として、そして公安としての彼に行き着いた。
様々な顔を使い分ける彼を見ているのが楽しくなってしまった"私"は、公安の降谷零と知り合うことをあえて選んだ。
"私"もまたカモフラージュの職業だった探偵として彼に近づいた。
太腿の傷痕は公安の任務中だった彼を庇った時に受けたもの。
太腿の傷ひとつで彼の信頼を勝ち取れるなら安いものだと思えた。
ほどなくして彼と身体の関係をもった。
ハニートラップを仕掛けたはずが、落ちてしまったのは"私"の方。
愛してしまったのも私、愛されてしまったのも私。
彼との時間は組織の生活が長すぎた"私"にはとても新鮮に思えた。
"私"は組織を抜けて、彼の前からも姿を消す予定だった。
手を汚す事も、彼を騙し続ける事も耐えられなくなってしまったから。
ジンとベルモットとの関係も、全てを消し去りたかった。
些細な変化に気付いたのはジンだった。
"私"はジンの最も嫌う裏切り者になってしまった。
それでもジンは"私"を生かさず殺さず人形のように扱った。
その頃にシェリーと出会った。
彼女と話すのは"私"が唯一、人であると思える時間だった。
"私"は彼女にひとつの頼み事をした。
しぶったけれどオーダー通りにこなしてくれた。
そんな"私"を気にかけたのはアイリッシュだった。
ジンと敵対関係にあったアイリッシュとは一度だけ肌を重ねた。
ジンとベルモットにたきつけられるようにアイリッシュは一度だけ"私"を抱いた。
そう、あなたは亡くなってしまったのね。
"私"を怪しんだジンは試すように裏切り者の処理を命じた。
"私"にはできなかった。
これ以上、罪を重ねることはできなかった。
変わった"私"をジンは許さなかった。
"私"は奥歯にある仕込薬を使うことになるまで追い詰められた。