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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】

第10章 零の奪還


「目を覚まされたようです」

スライド式の扉が開くと、白衣を着た男の声はしっかりと耳に届く。
その男の背後には、真白な部屋と不似合いな程に真黒に身を包んだ人物が2人。

(ベルモットと、……ジン)

に限り彼等はラスボスのような存在だった。
ベルモットは白衣を着た男に"もういいわ"と告げると、室内には遠慮を願いたいスリーショットが出来上がっていた。

ベルモットの口元は妖しく弧を描いている。

「お久しぶり…でもないかしら仔猫ちゃん」

彼女とはつい先日の埠頭で、不運にも出会っていた。

『そうね、先日ぶりね。お元気そうでなによりよ』

精一杯の虚勢を張りは答える。

ベッドへゆっくりと近付くベルモットの影に隠れたジンの姿が徐々に顕になる。
あの記憶のように笑っているのか、の視線はベルモットを霞め、ジンのみにピントが合わされた。

「無様じゃねぇか、ミスティ」

嘲笑うでもなく、だた無表情でジンが告げた。
"私"自身がそうさせるのか、わずかな彼の記憶がそうさせるのか、背筋が粟立ちじわりと嫌な汗が伝った。

彼へ視点を合わせているうちにベルモットはに掛けられた布団へ手を伸ばしていた。
熱の閉じ込められていた布団の中に、外気が入り込む。

「ふふ…痛いでしょ?」

感覚でしか掴めなかった自身の身体が目視できた。
両手足は遊びなくベッドに拘束されている。
両肩と両サイドを紐で結ばれた、手術着とは言えない頼りない布で身体を覆われている。
そして右肩と脇腹に大きなガーゼが貼り付けられ、他にも数カ所に治療の後が見られた。

『随分と…傷物にしてくれたわね』

ベルモットは脇腹に指を指す。

「これはキャンティのもの」

あのビルの上で、スコープ越しに視線が絡んだ錯覚に陥った相手を思い出す。
右肩に愉快そうに触れた。

「こっちは私よ。背後からそっと」
『挨拶もなしに酷いわね』

ベルモットはが着せられた頼りない服の紐を、ひとつまたひとつと解いていく。
その様子をただ眺めていた。

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