【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第9章 零と執行人
降谷はアクセルをふかせはじめた。
メーターはせわしなく上下を繰り返す。
「行くよ!安室さん!」
「1ミリでもいい、ずらせるか?」
「そのつもりさ!」
5秒のカウントダウンに合わせて、回転する後輪からは勢い良く煙があがる、FDはハイスピードで発進した。
「駄目だ!高さが足りない!!」
「上等だ!!」
マフラーからアフターファイヤーがボンッと音をたて、壁のない行き止まりで思い切りハンドルを切る。
資材に車体をぶつけながら進み、暴走に耐えきれないエンジンルームからは炎があがっていた。
コナンはスニーカーのダイヤルに手を掛ける。
スピードにのったFDは、スロープを越え、炎をまとったまま空へ飛び立った。
タイミングは計算通り、コナンは片手でシートベルトを掴み、射出ベルトからサッカーボールを出す。
「いっけえええええええ!」
月と重なるシルエットを目掛けてサッカーボールを蹴りあげた。
まるで天へのぼる一筋の稲妻のように、煙と炎を突き破ったサッカーボール。
カプセルに命中すると、辺り一面をキレイな花火が照らしていた。
カプセルはカジノタワーをかすめ、予定通り太平洋へ落ちた。
しかし、シートベルトを握る手は外れ、反動に耐えきれずに空中へ投げ出されたコナンを、降谷はすかさず捕まえた。