【名探偵コナン】Redo*misty【降谷/ 赤井/ジン】
第9章 零と執行人
が高く聳え立つ警視庁へ辿り着くと、大きな影を追う小さな影が見えた。
小さな影がコナンだと気付くと同時に発光が起こり、大きな影の腕にはコナンの蹴りあげた空缶が撃ち込まれた。
空缶の勢いに弾かれるように街路樹の植木を転がり落ちた影は、すぐさま起き上がりなおも走り出す。
自身へ向かい走り寄る大きな影を迎え討つようには構えた。
何せあの少年が追い掛けているということは、相手は"悪"に違いないはずだと。
「安室さん!」
「問題ない!!」
声のする方から車の屋根を走る降谷が目に映った。
そして男を追っていた2人にもここにいるはずのないの姿が映る。
「なぜここに!」
「さん!」
男はすでにの目前まで迫っていた。
「お前も仲間か!」
男は構わずにに殴りかかる。
自身に向け繰り出された腕を右足で受け流すように軌道を変え、すぐさま左足で男の脇腹を蹴り上げた。
男が再度に殴りかかろうとしたところへ降谷が飛び込んでくる。
「日下部検事!!」
殴りかかる腕を捻り上げられた日下部は膝を落とした。
「くっ…」
「あなたがテロを起こした動機は本当に公安警察なのか!」
「サミット会場が爆破され、アメリカの探査機が東京に落ちれば、公安警察の威信は完全に失墜する」
「何故そこまで公安警察を憎む…」
日下部は憎しみを込めた表情を降谷に向けた。
「お前らの力が強い限り、我々公安検察は正義を全うできない!」
「正義のためなら人が死んでもいいって言うのか!?」
「民間人を殺すつもりはなかった…」
公安警察しかいない東京サミット会場を狙い爆破し、死亡者の出にくいIOTテロを選び、カプセルを落とす地点も警視庁を選んだ。
警視庁を停電させたのも、IOTテロで撹乱させたのも、中にいる民間人を避難させるためだったと話す。
正義のためには多少の犠牲はやむ終えないと日下部は言う。
「そんなの…」
『そんなの正義じゃないわ…』
の言葉に日下部は膝をつく。
しかし彼には彼なりの全うすべき正義があり、テロを起こしてまで変えなくてはいけないことがあった。
「私の…私の協力者だって犠牲になった…」
それこそが彼を駆り立てる理由だった。