第9章 零と執行人

はしばらく隠れる拠点を作る事にした。

着替えは最低限のものをスーツケースに収める。

そして重厚なガラスケースの前に立ち、迷いなく親指を指紋認証にあてる。
SAKO TRG 42、高い耐久力で軽量かつ射程も申し分のないライフルを取り出す。
ハンドガンにはデザート・イーグルを選びハードのライフルケースとホルダーに収納をする。

『…知らないはずなのに、私はこれを選ぶのね』

今更と思えるほどの感覚はが何度も経験していた事だ。

クローゼットへ向かいお決まりの深いスリットのワンピにレザーのライダースジャケットを羽織る。

エンジニアブーツに足を通す。
ライフルケースを肩にかけスーツケースを握る。

大きく息を吸いこみ、ゆっくりと吐き出す。

『…大丈夫、上手くやれる』

玄関のドアノブに手を掛けた。