第1章 記憶と感覚

――Pipipipipipi!

『………ん、煩い…』

――Pipipipipipi!

『……何なの？』

枕元に置いて寝たスマホのアラームだった。

『えぇー怖。アラームとか掛けてないけど…』

時刻を見るとam05:50…

『こんなに早く起きて何をしろと…』

一人悪態を付きながらベッドから出てカーテンを開ける。
良い天気になりそうな空模様だった。

『ジョギングでもしようかな…』

顔を洗い歯を磨き、クローゼットにあるスポーツウェアを取り出し着替えた。
アームポーチにスマホと1000円札を1枚と鍵類を入れて外へ出た。

軽く準備運動をして走り出す。
気づけば1時間が経過した。

『息切れしないし…体力はあるのかな』

折返し、また走り出す。
ふと前を走る人が目についた。
進むペースは落ちていないのに徐々に離されて行く。
良くわからない闘争心に火がつき追いかけ離されたままマンションに着いてしまった。

『…はぁっ、はぁっ…もうダメ…』

その場でへたり込みたい気持ちを抑え、マンションの敷地内にある芝生に移動し身体をクールダウンさせる。

約2時間のジョギングを終え部屋に戻りシャワーを浴びる。
今日やる事を考え貴重類を調べることにする。

冷蔵庫からウィダーinゼリーを取り出し片手で口に運びながら通帳を引っ張り出した。

『へぇー、お金はかなり持ってるのね』

しかし不定期に入金される金額にバラ付きがあり、入金元も不明だったため何の仕事をしているのかは知り得なかった。

『やっぱり危ない仕事なのかなぁ』

危ないと言えば、毛利探偵事務所のコナンという少年。

『発信機に盗聴器…？…どちらにしろ物騒だし。何の目的で私に着けたの？』

あの少年には今一度会って確認しないとと考えているとスマホが着信を知らせる。
画面をみると"江戸川コナン"の表示があった。

『もしもし？』
「さん、おはよう！」
『おはよう、コナン君。どうしたの？』
「さんに会わせたい人がいるんだ！」
『そう、私もあなたに聞きたい事があったから丁度良かった』

13時にポアロで待ち合わせとなった。
正直に言えば安室とは顔を合わせたくないだったが、相手の指示通りに動くことにした。

『…あの少年には警戒しないとな…』