第10章 療養中
ドクターが言うには、自分には源石を融解する力があるため、私がどれほど強力な源石術を使おうと、その力は融解する力と混ざりあって鉱石病になることはないらしい。
所謂チート能力、というやつなのだろう。私を飛ばした誰かさんは何がしたいのだろうか。
兎にも角にも、自分がこの世界で安定したことは事実だ。すると今まで悩んでいたことも全て無くなり、自尊心が傷つくことも無くなった。例え傷付いたとしても、私には仲間がいる。
「さくらさん、早速ですが検査を「「「駄目です」」」え、ええー…」
ドクターからの話が合ったあの後、すぐに自室に戻ろうとしたところを研究員に捕まっても、左右にいる3人が(凄い形相で)守ってくれるのだ。
研究員は怖気づいて退散していった途端、メランサが右腕にぎゅっと抱き付いて来た。
「酷いですよ…起きたばっかりなのに…」
「本当に。許せないね」
「ドクターに言いに行きましょうか」
「メランサちゃんが可愛いのはデフォルトなんだけど、男性陣の顔がマジで怖いよ!?」
どうやら前よりも過保護になってしまったらしい3人に苦笑いを零す。
そんな時、割と静かな廊下にぐうううううという腹の虫が食事を求めていつもより長く鳴き喚いて目を見開く。明らかに自分の所からで、3人が目を丸くした。