第24章 伝えたかった事
「スプーンだ…」
「何だって?」
「これは、スプーンなんだよ!」
「スプーンがどうしたってんだよ!」
イフリータさんがイライラして私の肩を揺さぶる。
その最中私の手から紙を取り、スチュワードが呟いた。
「なるほど…それならこれまでの謎全部に説明がつくね」
スチュワードの後ろから顔を出したアドナキエルは、手に持っている紙を指さし、目を細める。
「確かに。この絵は先が折られたスプーン…それを踏まえて考えると、手首を前衛オペレーターであるレイリィが無防備に切られたのは体の自由を封じられたため。その後の扉の封鎖…」
「アルガムの場合はサイコカッターでの右腕切断。パイロキネシスの人体発火…そうだね、この絵が示す通り、犯人は…」
金と青紫の目が見合う。頷いた彼らは声を揃えた。
「「念力を使える者」」
ニィ、と笑った2人に思わず呟いてしまった。
「え、かっこいい…」
「急に腑抜けるなよ…」
ラヴァと呼ばれた女性から鋭いツッコミが飛んできて、へらりと笑う。
うちの彼氏たちがカッコ良くて気が抜けてしまう。
アドナキエルはヘッドフォンを片手に通信を行い始め、スチュワードは人差し指を振るいながら事件の整理をし始めた。
「僕らの倍の力、そしてアルガムをも凌駕する強大な力の念力を使える人…ロドスにいたかな」
「スチュワード」
アドナキエルは眉を顰めながら振り向いた。
その顔の苦悶の表情は、スチュワードから私に流れてきた。
「さくら以外に、一人…いる」
呟いたアドナキエルは、私に申し訳なさそうな顔をした。
―――――――――
「…はぁ」
「ドクター?」
「いや…今回の事件の犯人を3人が突き止めたようだ、アーミヤ」
「!」
「この件をどう処理するかはさくらに任せよう……その時、彼女は冷静な判断ができるだろうか」
「…さくらさんなら大丈夫ですよ、ドクター。…彼らが報われる選択をするはずです」
「…あぁ。そう信じよう」
To be continued.