第9章 酷い夢
「さくら?」
「腰が、抜けた…」
「オッケー。じゃあしっかり掴まっててください!」
「う、わ!!アドナキエル…!」
アドナキエルは地面に落ちている自身の武器を拾って腰のホルスターに収め、さくらをひょいと横抱きにすると走り出した。
その前を往くのは時折振り向いて確認するスチュワードとメランサだ。
それを見たさくらは目を細め、アドナキエルの服を掴んだ。
「ロドスには私は要らないって…」
「そんなことないですよ」
「戦えないし、使えない…」
「そんなことない。…帰ったら、隠していた話をドクターにしてもらいますから。そんなこと言わないで」
「……うん」
さくらが頷いた。そんな時だった。
「!アドナキエル!上だ!!」
「!っ」
スチュワードの声の後、すぐに危険を察知してアドナキエルが地面を大きく蹴り、後ろへ飛びのいた。瞬間、目の前に大きな岩崩れが起こり、進路を塞いでしまった。
「アドナキエル!!さくら!!」
スチュワードの声が向こう側で響いた。一瞬慌てたアドナキエルはすぐに冷静さを取り戻し、崩れた岩々に向かって叫んだ。
「先に行って!!俺たちは別の場所から出るから!!」
「ッ必ず出てくるんだ、分かったな!アドナキエル!!」
「勿論!!」
2人は特別仲がいい。故に聞き分けも良く、スチュワードの気配はすぐに遠ざかって行った。
だが、その後すぐにアドナキエルの顔が歪む。