第9章 酷い夢
「ドクター!」
「さくらがいるな…カーディを先頭に突撃せよ!!アーミヤは後方支援に回れ!」
「はい!!」
白衣のポケットに忍ばせたものを確認した上で、ドクターも後に続いて足早にその炎の中に突っ込んだ。
するとすぐにその炎の持ち主である者は姿を現した。
「来ないで!!!!」
「!」
茶色の岩壁だった穴倉が、瞬く間に青くも美しい氷の洞窟に変わってしまうのを見た。
ドクターは一際広い空間で、即席で作られたのだろう、天井から地面まで埋め込んだだけの牢屋の中にいる人影に目を向けた。
中にはさくらが閉じ込められていて、先に着いていた行動予備隊A4は牢屋を囲うように配置している。
「さくらさん…私たちが、迎えにきました」
「来ないで…!!」
「さくらさん…?」
メランサが近寄ろうとするが、さくらは牢屋の奥に下がるだけで、一向に出ようとはしない。
それどころか、金属の柵に電流を流して近付かせないようにしている。
「良くないですね…源石に思考がやられています」
そう言ったのはアンセルだった。
ドクターが頷き、さくらの目をじっと見た。ブラウンの瞳が今は源石の影響か、赤く光り輝いている。
「…それに、要らぬことを吹き込まれたようだ」
「ロドスはっ…私を、必要としない…!!私は、っ…戦えないっ…!!」
頭を抱えて蹲るさくらに、どうしようもない隊員たちはその場で行ったり来たりを繰り返している。
鉄柵に電流が帯びている以上、触れられないために扉を開けることも不可能だ。
緊迫した空気が流れる中、ドクターの後ろからクーリエとドーベルマンがやって来た。