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【アクナイ】滑稽な慈悲

第8章 全てを見透かしていた者



4人は息を切らしながらもやっとその場に到着した。そこには数人の隊員と、研究員、同じロドスの仲間であるクーリエがいた。
行動予備隊A4の隊長として、メランサがそのクーリエに近付き、おどおどとしながらも聞いた。


「カランド貿易のクーリエさん…何が、あったんですか?」

「あぁ、メランサさんだったかな。…レユニオンが攻めて来たんだ」

「ロドスに…?まさか、その場にいたんですか…?」

「見学席にいたんだ。まさか、あれほどの源石術使いで、奴等に狙われてるなんてね…」


メランサには"あれほどの源石術使い"という言葉に聞き覚えがあり、そして遠くで見た氷柱には見覚えがあった。
嫌でも彼女の心拍数は上がり、間違いであってくれと何度も心の中で唱えて、恐る恐る聞いた。


「誰か、アーツ訓練場に、いたんですか…?」

「あぁ、さくらって知ってる?」


彼がその名前を出した瞬間、氷が張り付いて冷気を出しているドアをいち早く越えたのはアドナキエルから続いてスチュワード、メランサだった。


「ちょちょちょっと!?3人とも!!」

「まだ中は危ない!!」


そう言ってカーディとクーリエがスチュワードとメランサを捕まえた。だがアドナキエルは捕まえ損ねて彼は白煙の中を突き進んだ。


「さくら!!」


その名前を呼ぶのにはもう意味が無いとは知っている。この場に彼女がいないということは息途絶えているか、はたまた別のどこかにいるという2択なのだと。前者でなければ何でもいい。そんな思いで2枚目の扉を越える。
すると、そこは地面が氷に覆われている青白い世界と化している。ただそれだけで終わりなら良かった。

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