第8章 全てを見透かしていた者
「ただの猫探しで駆り出されるとはねー!」
そう言ったのはクリーム色の髪を持った女の子、カーディだった。元気よく踏み出すその後ろ姿を見ながらついて行く行動予備隊A4隊長メランサを始めとした3人は基地内を歩いていた。
「ドクターのあの慌てた姿、とても印象的でした」
「…可愛かったです」
「最終的にメランサに捕まえてもらったからね。さくらに寂しい想いはさせられないし、早く終わってよかった」
「これでさくらと遊べますね!」
「はい…!」
「その、さくらちゃんって人はいつの間にか3人の遊び相手なんだね!ずるい!私も会ってみたいなぁ~!」
「多分…部屋にいると思うから…一緒に行こうね」
「!うんっ」
4人が微笑み合った。その時だった。
ドオオオオン―――ッ
突然空気を揺るがす程の爆発音が轟いた。
「何だ!?」
「痛っ!」
激しい縦揺れに思わずカーディは尻餅をついてしまう。メランサはすぐにカーディの手を引っ張り、起き上らせて状況を確認する。
「なっ…」
一番先に異常に気付いたのはアドナキエルだった。
アドナキエルが見つめるその方角を3人も見る。と、驚きで眼が揺れた。
強固にできているはずのロドスの外壁が壊れ、そこから太陽の光を反射する氷が突き出ていた。
「な、に。あれ…?」
「あそこはアーツの訓練棟…事故、ですか…?!」
「わからない。兎に角行ってみよう!」
胸騒ぎがするまま、4人はそこへ駆け出した。
同じく別の行動隊も横を過ぎ去っていくのを見たが、別の任務に当てられているのかすぐに角を曲がって行ってしまった。
それを一瞥した行動予備隊A4が向かう方角から、研究員や非戦闘民が逆方向へ避難していくため、肩と肩がぶつかり合い、辿り着くには少し時間がかかった。