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【アクナイ】滑稽な慈悲

第6章 秘めたる力



「確定、ですね」


研究員が呟いたその言葉にドクターはその目を揺らした。目の前のモニターに出されたスチュワードとメランサ、そしてドーベルマンのデータに、駆け付けて来たその3人も目を丸くした。


「やはり接触が多かった4人の数値が下がっています。一番はアドナキエルさんですね。一緒にいる時間が多かったようでしたから」

「どういうことだ、ドクター。鉱石病が緩和されているなどと…そんなことありえたのか!?さくらといるだけでか!?」

「ドーベルマン先生。どうやらそのようですよ…にわかには、信じがたいですが…」

「だとしたら不味いね。レユニオンがこのことを知ってしまえば…」

「全面戦争待ったなしだ」


ドクターが呟いた言葉に、メランサが肩を窄めた。


「でも…ならさくらさんに、ずっと一緒にいてもらえば…」

「レユニオンに連れ去られたら何をされるかわからない。最悪人体実験もあり得るんだ。…さくらに負担だけはかけたくない」

「俺も賛成です」

「僕もそうしていただきたい」

「私も、です」


賛同する3人に、ドクターは頷いてドーベルマンを見据えた。


「このことは最高機密とする。口外無用。本人は勿論、誰にもだ。ドーベルマン、さくらを戦場には出さない。いいか?」

「あぁ勿論だ。あいつには適当に言っておく」

「よろしく頼むよ」


先にドーベルマンが部屋を出ていく。
残されたオペレーターの3人は怪訝そうに暗い顔を浮かべた。

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