第6章 秘めたる力
ドアが閉まった直後、行動予備隊A4の3人を見据えるとドクターは言った。
「3人にはこれまで通りさくらと仲良くしてやってほしい」
「勿論ですよ」
即答したのはアドナキエルだ。いつもの笑みはそこに無く、真剣な表情でドクターを見据える。
それに続いて、スチュワードとメランサも頷いた。
「僕らの意思で仲良くやってます。勿論、鉱石病を治す治さないに関わらず、彼女とはね」
「一緒にいて、心地が良いですから…」
「うん。では頼んだよ。きっと…任務から外れることを通知したらまた落ち込んでしまうだろうが、励ましてやってくれ」
3人は同時に頷いて部屋を出て行った。
ドクターは素直に喜べないこの惨状にぽつりと彼女の名前を呟いた。
「神がいるなら…我々に慈悲を与えて下さったのか?」
「まさに救世主です」
「…これからどうすればいいんだ…彼女の力を借りようとしたらそれこそ利用することになる…」
「伝えずにはいられません」
「……そう、だろうな。…数日様子を見て話すかどうか考えよう」
顔を覆ったドクターはモニターの数値を指で撫ぜ、大きく深い溜息を吐き捨てた。
To be continued.