第23章 殺意の目
「ん…?」
朝起きると、両隣の2人が消えていた。
早番は聞いていない。ということは何かあったんだろうと早々に起きて身支度をしてから部屋を出た。
すると、忙しなくオペレーターたちがどこかへ走っていくのを見た。
何となくその群れに耳を傾けていると不穏な言葉が飛び交っていることに気付いた。
「鉱石病によるもの?」
「いや、非感染者だって」
「なら何故死んでたんだ?」
「さぁ?俺は自殺だって聞いたけど」
「マジか…ロドス初じゃないか」
胸騒ぎがする言葉だ。
ここを流れていくオペレーターは皆じゃじゃ馬だろう。
そのじゃじゃ馬に混ざってついて行くことにする。と、段々と人が多くなっていき、走る速度も比例して落ちていく。
ガヤガヤとしたこの場で、唯一知っている毛並みを持った尻尾が見えて近付く。
「スチュワード!」
「!」
彼は振り向くなり、その顔色の悪い表情を歪めて叫んだ。
「来るな!」
「!」
人の目が彼と私に集中する。
ここで暮らしていると、その目がどういう意図を持ってこちらを見たのかが理解できる。
興味があったから。疑問が出たから。…理由は様々だ。
だが、その中でも殺意を放つ目と目が合い、背筋が凍った。
その目を持つ者はスチュワードと同じく最前線にいて、その口火を切った。